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駆け出しゲームプランナーの日々を綴ります。

スピッツの『運命の人』という物語

 新年3発目。今回はスピッツのお話。
と言っても犬ではないです。ロックバンドの方です。
実は私、かれこれスピッツのファンでして、アルバムも全部ではないですが、ほとんど持っています。しっかり聴き始めたのは大学に入ってからのことで、それまでは耳に残ったメロディーを少し思い出すくらいでした。
というのも、中学の掃除の時間、スピッツが流れていたんです。チェリーとか、渚とか、スカーレットとか。今思い返すと、なんていい中学時代だったんだろうと思います。このとき、ほぼ毎日のようにスピッツが生活の中で流れていたので、好きも嫌いもなく、歌の意味も考えずに掃除の時間のBGMと、雑に私の中で扱われていました。
 大学に入り、何故かスピッツの曲が懐かしくなり、スターゲイザーという曲を無性に聴いていました。心がほかほかするようでした。
そんな中、私はスピッツのある曲に出会います。それが「運命の人」というタイトルの曲です。私はこの曲がスピッツで一番好きです。
スピッツの魅力は何か。それはこれまでないがしろにしていた歌詞、これでしょう。一見難しそうに綴られた歌詞も、心の中で現像すると、様々な物語が広がっています。今回の運命の人もその一つで、特に物語性が強いのではないでしょうか。そして、それは最初からやってくるのです。
歌詞の最初は「バスの揺れ方で人生の意味がわかった日曜日 でもさ、君は運命の人だから強く手を握るよ」
とあります。どうでしょう。一見、なんの変哲もない、歌詞の一節ようで、どこか既視感のある内容ではないですか。
これは、想像していた未来とは全くの逆を行く、まさに自分自身の姿そのものではないでしょうか。バスの揺れ方で人生の意味がわかった日曜日。これは、昔はいい車に乗って、いい女とドライブしたい、なぁんて言っていたのに、月日が経つと自分はバスに揺られながら買い物に行く普通の大人になっていた、そんな物語の一片が垣間見れる一節だと考えます。その次の、君は運命の人だから強く手を握るよ、のところは、こんな風な未来が来るとは考えてなかったけど、そこそこ楽しいよ、という若干諦めにも似た、そして皮肉めいた納得を自分にさせている35歳くらいの男性の姿が目に浮かぶようです。でも、これはあくまで私個人の解釈で、人によっては水のように姿形を変えて伝播するのではないでしょうか。
 優しくポップなメロディーラインに乗って、草野マサムネの透明感のある歌声が、これでいいんだ、これでいいんだ、という歌を運んできます。この曲を聴いていると、人生ってもう少し肩の力を抜いていいんだ、と思えてきます。
肩こり腰痛、私は頭痛がたまにあります。去年患った痔もまだ完治しておりません。生きていれば上手くいかないこともあって。そんな時、この曲を聴くと、歌の中の主人公と自分が妙にマッチングして、私に後悔の後味を教えてくれます。それは苦くも、どこか味のある、人には伝わりにくい風味です。
この運命の人は、アルバム「フェイクファー」に入っているアルバムバージョンが個人的にオススメです。
曲調がマイルドになっているので、是非バスに揺られながら日曜日に聴いてみてください。 
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