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駆け出しゲームプランナーの日々を綴ります。

90分の壁を越えて

 今回は私の映画に対する考えを少しで
すがまとめてみました。
私は映画が好きです。最近はそれが顕著で、時間があれば以前から見たかった作品、途中になっていたシリーズを、様々な感想を抱きながら楽しんでいます。映画の良さは、自分の人生の時間を少し割くことで、違う人間の物語を体験できることではないでしょうか。
 今回のお題はその「人生の時間」についてです。映画は短い作品でも90分が大体の上映時間の相場だと私は思います。長いものだと、120分から180分、それ以上のものもありますから、それだけの人生の時間をひとつの作品に捧げる覚悟が必要です。それには作品の内容もないがしろにはできないはず。
お世辞にも面白い、と言える作品も少なからず存在はしていますし、なかを見てみないと実際はどうか、なんてことも分かりません。ネットが発達した現代では不特定多数の意見を参考にして、幾らかの予想は立てることができるのですが、その作品が実は自分にあっていた、なんてこともあるものです。なので、レンタルショップでパッケージを見ることはとても私は大事にしていて、そこにまた払うお金が発生してくるので一種の博打なのであります。
 さて、話は「人生の時間」に戻りましょう。私はここまで映画を観ることに慣れる、という事に念頭を置いてきました。というのも、私は映画の上映時間のボーダーが90分なのです。
私自身、集中力が決していい方ではないので、上映時間を第一に考えてしまい、気になっていた作品があったとしても二の足を踏んでしまうことがままありました。諺には、習うより慣れろ、という体に叩き込め、と言わんばかりのものがあるように、こればかりは慣れるしかないだろうと思いました。
私はこれを「90分の壁」と呼び、このボーダーラインを超えることに注力しました。まずは気になっていた作品から上映時間の長いものを選び、そこから少しずつ慣れていきました。
小中高の頃は上映時間なんて気にせずにただ、面白い、楽しい、悲しい、のチャンネルを最大限に回して、スクリーン越しの感動を味わっていたのに、いつから上映時間を気にして映画を観るようになったのでしょう。
作品に対しての周波数を合わせて、精一杯作り手の意図を受信していた時が遥か昔のように感じてしまいます。
そんな私の映画に対する色眼鏡を変えてくれた作品があります。それが1999年上映の『ファイトクラブ』です。
以前から大変気になっていた作品であり、上映時間も自分の壁を優に越えており、これ以上ない作品だと思いました。
結果は大正解。この作品のおかげで、私の90分と90分1秒の壁がなくなり、手を繋ぐことが出来たと考えています。
 二十歳を超えてから人生の時間を逆算することが増えてきました。
ひとつのことをするにも、変に残りの時間を気にしてしまう自分の存在が足枷になってしまう時があります。
しかし、映画は本来、娯楽、エンターテインメントとして発展を続けてきた産業です。初めて動く映像を人が見たとき、それは新しい文明の鐘が鳴った日でした。それが当たり前の時代になり、映画以外の娯楽は数え切れないほど生まれました。いつからか、映像を観る、ということは流れ作業になり、ある種の義務感をうんでしまったのではないでしょうか。それは本来の映画のあり方とは反比例する形で私のような人間の体に気付かぬうちに刷り込まれていました。
 90分の壁を越えるということをただ、映画を観ることに慣れるということと捉えていたのですが、その本来の意味は、自分の中で失っていたものを取り返すこと、という意味を内包していたようです。でも、ロードオブザリングは何度見ても長いです。