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駆け出しゲームプランナーの日々を綴ります。

アドベンチャーゲームの”ゲーム性”を探して。

 久しぶりに、ゲームの話をしたいと思います。

これまでは、あくまで遊ぶ側として数多くのゲームに触れてきました。

そして、それらのゲームには個々に特徴や面白い思わせる部分がありました。

その個々のゲームの持つ特徴が”ゲーム性”だと考えていました。

それから大分経ち、

縁あって、現在はゲームを作る側にまわっている私ですが、つい最近、

外部のエンジニアさんと話す機会があり、その中で

「最近はどんなゲームを遊んでいるのか」という話になりました。

私はこのところ、『シルバー2425』というアドベンチャーゲームを遊んでいたので

そう答えると、こんな問いかけが返ってきました。

「そのゲームに”ゲーム性”はありますか?」

 思いもよらない質問に私はたじろぎました。

好きなゲームだから遊んでいた私にとって、”ゲーム性”という言葉は、少し捉えづらいものに感じました。

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◆タイトル『シルバー2425』

◆製作・グラスホッパーマニファクチュア

◆販売・日本一ソフトウェア

 

その他にも、

「そのアドベンチャーゲームはテキストタイプか?

 テキストタイプのゲームは普通の読み物でもいいのではないか?」

と立て続けに詰問されました。

その時、私はうまく答えることができず、そこから数日”アドベンチャーゲーム

ゲーム性”について考えました。

 

 私は先ず、この話の主題である”ゲーム性”について解説したいと思います。

これは非常にあいまいな定義で、確実とした説明のない概念で、

しかしながらゲームを評価する中で、

「これは面白いゲームか、それともその逆か」

を判断する軸になっています。

この”ゲーム性”は「リスクとリターン」「オフトレード」の要素で語ることができるとの意見もあります。確かに、ゲームを「駆け引き」として捉えるならば、そういった見方は至極当然で、説得力も十分でしょう。

しかし、その理論を「駆け引き」のないゲームに置き換えると、当然あてはまりません。

それは”ゲーム性”は無い、ということになります。

しかし、”ゲーム性”がなければゲームとは言えないのでしょうか。

私はこの点が妙にひっかかりました。

アドベンチャーゲームの主目的は「探索」と「情報収集」、それに「問題の解決」が挙げられます。

この中に上記の「駆け引き」の要素が私の好きなシルバー2425にもあれば、

”ゲーム性”は「ある」と判断できますが、ゲーム内容は基本一本道で、

駆け引きの要素は皆無です。

しかし、このゲームはゲームとしてしっかり面白い。

確かに駆け引きに基づく”ゲーム性”はありませんが、このゲームの持つ”ゲーム性”は別にあると考えました。

 

 そこで、先ずはこのゲームの魅力を以下の要素に分解。

1.ストーリー

2.テキスト

3.演出

4.システム

5.音楽

6.物語への介入

 次に、分解した要素の中から、このゲームの「遊び」とは関係しないものを抜き出します。

1、2、5はゲームの持つ、世界観や雰囲気を構成するには重要な要素ですが、

直接「遊び」にはつながらないと考えました。

 

 次に残った要素からこのゲームが「遊び」としてどう面白いかを模索します。

このゲームの特徴は何と言っても、「フィルムウィンドウ」という、それまでのゲームには無かった斬新なシステムが魅力的でした。

このフィルムウィンドウはテレビ番組で見るようなワイプだと思ってください。

一つの画面で複数の場面が同時に進行。

これがアドベンチャーゲームにこれまでにない体験を与えてくれます。

そして、「演出」。

前述のシステムにマンガのコマ割りのような画面が重なることで、

テンポのよい、気持ちのいい体験が得られます。

しかし、体験なら前述の省いた要素もキーになるはず。

しかも、それは映画やマンガなど、ほかのコンテンツにも該当します。

これでは説得力に欠けてしまいます。

う~~ん。

 ここで考えたのが「物語への介入」という要素。

今作では「情報収集」「謎解き」「探索」の要素があり、テキストベースとはいえ、

ただ読むだけのゲームにはなっていません。

ゲームがほかのコンテンツと明らかに違う点は、それらの要素を介して、

「物語に介入」することができるところです。

この「物語への介入」を”ゲーム性”と新たに定義するなら、

今作における”ゲーム性”の有無は、”有る”ということになります。

しかし、”ゲーム性”という言葉自体、現在でも曖昧模糊とした概念のため、これが正解ではありませんが、ひとつアドベンチャーゲームにおいて”ゲーム性”の有無を測る際には有用かもしれません。

今回はゲームという解釈の広い、日々進化し続ける分野について考えてみた、

そんな話でした。